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お知らせ

2023/12/07

《姫路地区講習会》

 11月26日(日)午前10時より姫路市民会館4階第6会議室にて、宝塚医療大学特別教授の中村辰三先生にお越し頂き『電子灸(Nakamura灸)の開発とその効果』について学習しましたので報告します。

 1970年代に中村先生が大阪、東京、アメリカと毎月長距離の出張があり激務の仕事をこなされていた時に、体調を崩し風邪を引きやすくなっていた。鍼灸師として体調管理に薬ばかり頼るのは恥ずかしいとの思いからお灸の効能を再確認し、深く研究するきっかけになった。その後、お灸の効能から83歳の今でも大きく体調を崩すことなく元気に働けている。

 

1・お灸で免疫力が上がる。

 お灸により白血球が増える。通常、健康な人間でおおよそ4000~8000/1μl存在する。お灸をすることにより、その数が平均で約2割ほど増加する。特にその中でも好中球がまず増加する。これが身体を守る力すなわち免疫力として発現することを意味する。

 ただし、今よく巷で用いられている『温灸』ではその効果は見られない。皮膚に直にするお灸『直接灸』でこそ効果が上げられる。

これはお灸の身体への侵襲性が必要なことを意味する。

 

2・お灸の普及を妨げる要因

・艾  (ガイシュ)を作るのに手間暇がかかる。

・直接灸の必要性を患者が充分に理解していない。

・病気を治すための治療法であることを理解していない。

・お灸による煙、匂いが服に付くなど。

・患者が熱くて灸痕が付くのを嫌がる。

などのデメリットがある。

 

3・電子灸たるN灸(Nakamura灸)

以上の直接灸のデメリットを克服するために電子灸たるN灸(Nakamura灸)を開発した。

特に、実際の火を必要としないこと、煙が出ないことは病院の中でも使用できるメリットがある。使用中は加熱部分の先端が光り、音が出ることで、通電加熱中かどうかの判別がし易くなっている。また火を使用しないことで視覚障碍の施術者でも安全にお灸をすることが出来る大きなメリットがある。

 N灸にはプロ用の75℃(米粒大と同温)5秒連続刺激、一般用の67℃(半米粒大と同温)4秒連続刺激がある。プロ用の物でもサランラップ一枚を皮膚上にかますことで4℃接触温度が下がる。サランラップを折りたたみ重ねることで合計8℃下げることが可能になり、一般用と同じ67℃(半米粒大)として使うことも可能である。

・N灸の灸痕は直灸のように皮膚は黒くならず、濃いピンク色に近い灸痕になる。

・刺激量は各ツボに5壮(5回)程度。刺激毎は痒くなるのは直灸と同じ侵襲程度。

 

4・N灸(Nakamura灸)の実験(抜粋)

実験1

N灸(67℃使用)刺激前後の白血球の推移。

被験者:12名、2回刺激

内訳:手・足三里、合谷の左右6穴、6名

   大椎、身柱、両風門、両肺愈の6穴、6名

結果:白血球、好中球の増加、リンパ球減少

ただし、施灸を継続的に続けるとリンパ球は増加に転じ、好中球などは平常値に戻る。

 

実験2

N灸(75℃使用)刺激前後の白血球の推移。

被験者:6名、週2回、2週間の計4回

内訳:手・足三里、合谷、三陰交の8穴

結果:白血球、好中球、リンパ球全てにおいて増加

 75℃(米粒大の温度)を使用することで侵襲性が高く、効果を得られやすい。代田文誌が著した鍼灸真髄でも、一つのツボに米粒大7壮するのが通常であると記載されており、熱刺激の侵襲性を再現している。

また別の実験から67℃(半米粒大の温度)でも回数を増やすことによってリンパ球が増加することも分かっている。

 

実験3(概要のみ)

NK活性化について。

NK(ナチュラルキラー)細胞は癌細胞、ウィルス感染細胞などを見つけ次第攻撃する大型のリンパ球である。

採決者の血清からリンパ球を分離して、これに51Cr-標的細胞(K-562細胞)を加えて培養し、NK細胞の細胞障害によって遊離する51Crを測定してNK活性とする。

このNK活性化に関しても有意値が見られた。

 

5・お灸と癌

通常は施灸3壮では痒くなりにくい。4~5壮据えると痒くなってくる。

 癌患者は癌の数値が悪いといくら施灸しても痒くならない。数値が改善してくると施灸することで痒くなってくる。

 体調不良を暫く我慢して病院を受診した方が、癌進行していると診断され1年保つかどうかという判断であった。癌と診断されてからその人は直ぐにお灸を始め、途中体調も回復した。腹水の関係で3年半目に病院に入院されることになり、お灸が中断すると体調が急激に崩れ亡くなった。入院中でもお灸が出来ていたらまた結果が違っていたのではないか。また、癌と診断された別の方では、切艾の小を更に半分にして患部上やその臓器の対応のツボに毎日施灸することで癌が無くなった事例もあった。

 1年しか保たないと診断された方が、3年半生きられたという事実。早めに対処することで消失した事実にお灸の底力の強さを感じている。

直接灸をする施術院が少なくなっている現在、いまこそ治せる施術家として本当のお灸の力を認識してもらえたらとても嬉しい。

【報告者:姫路地区 佐藤暢彦】

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