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お知らせ

2025/10/20

《令和7年度 夏期大学講座2日目》

会場:神戸市産業振興センター 会議室802、803号室

 講演1 午前10時30分から12時00分

 「基礎からまるっと解説 鍼通電療法概論」

 株式会社メディカルアート 代表 坪井良寛先生

 坪井先生は京都府亀岡市で「物理療法」を中心とする施術所を開業されています。低周波鍼通電療法を行いながらその使用法の確立、また製品の普及拡大に取り組まれています。今回の公演では鍼通電療法の原理、また各社から販売されている機器について解説いただきました。具体的には鍼通電の機器5つを取り上げて、チャンネルの数や電源、出力方式の違い、また波形や出力パターンの変更ができるかどうかなど、機械を選ぶ際の参考になることを詳しく説明いただきました。低周波鍼通電療法の目的は、電気刺激で筋の収縮をおこし循環を改善したり、またコリをほぐすといったことですが、それに加えて内因性のオピオイドを誘発して鎮痛を行うことが知られています。刺激の周波数が50~100ヘルツといった高頻度刺激の場合は鎮痛効果の発現が早く、その効果の持続時間が短い。いっぽう2 5ヘルツの低頻度の場合は鎮痛効果発現までの時間が遅いけれど、効果の持続時間が長いそうです。最近ではこれらを組み合わせた「スイープモード」が搭載されているものがあって、早い鎮痛効果とその持続がいちどにできる装置もあります。今回紹介された製品の価格は3万円台から高いものは14万円くらいで、当然価格の高いものが多機能ではありますが、その機能を全て使いこなすのはとても無理ですので、自分の施術にあった製品をゆっくりと考えて決めるのがよいのではないかと思いました。

 

 講演2 午後1時~2時30分 実技2時40分~3時30分

「フェムテックと東洋医学そして低周波鍼通電療法 女性の身体に寄り添う、新たな統合ケアのかたち 」

学校法人呉竹学園 臨床教育研究センター マネージャー 船水隆広先生

 船水先生は日本フェムテックマイスター協会の理事をされていると言うこともあって、今回は特に女性を取り巻く様々な体の不調と鍼灸施術と言う話題を中心にお話をいただきました。例えば月経に伴う諸症状の改善。加齢に伴って骨盤底筋が緩むことによって起こる様々な症状、また女性に限りませんけれども睡眠に関すること、腰痛に関することなどについて解説と、そして後半は実技ということでご講演をいただきました。まず月経に伴う症状の改善に関しては、やはり腹部のツボ「子宮」や「帰来」に鍼をして通電をするといった方法、また三陰交と陰陵泉を結んで通電を行うといった治療法をご紹介いただきました。また実技では、女性のかたに模擬患者になってもらって、下肢や腹部、また頭部への鍼通電療法。また先生の得意とするテイ鍼を用いた施術をご紹介いただきました。何しろ先生はたくさんの芸能人の方に施術したりとか、多くの学会で要職を兼任されていたり、国連を始め世界各国で講演したりといった非常に多岐にわたるご活躍をされているので、そのお話を聞くだけでもこの時間があっという間に過ぎたと言う印象です。今回の学術講演会では「鍼通電療法」がテーマでして、坪井先生も船水先生も鍼通電に関する話題を中心にご講演をいただきました。私も使っておりますけれども、普段は設定を変更するといったことがあまりなく、いわばワンパターンの使い方なんですけども、今回の講演を聞いて私が持っている機械でもまだまだ幅広く応用ができるんだなと言うことを実感して、早速今日からの施術に使っているところでございます。ただ鍼通電療法はあまり東洋医学ではなくて、むしろ西洋医学的です。したがって鍼灸師でなくても、例えばお医者さんも最近は過当競争なので、患者さんの集客にの鍼通電療法に目をつけるところも現れるでしょう。患者さんをベッドに寝かして鍼を刺してしてスイッチを入れるだけだから、それほど先生の手間を取らさないし、効果は抜群で喜ばれるしということで、どんどんとこの分野に参入してくるかもしれません。すると我々鍼灸師の住む森が壊されてゆくわけです。そこで我々鍼灸師としては、ただ筋肉の硬いところとか痛いところに鍼を刺して電気を流すんだといったことではなくて、あくまでも経絡経穴を考えた施術をする。その基本的な部分を譲らなければですね、鍼通電療法も鍼灸師の森として残していけるんじゃないかと思いました。

【報告者 西宮地区:杉輝章】

【報告者 西宮地区:杉輝章】

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