2026/05/26

東洋療法372号

東洋療法 372号(5月1日号)(電子ブック版)
※PDF印刷は電子ブック版から行えます

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目次
1  鍼灸マッサージを考える国会議員の会総会開催
   議連 新会長に加藤 勝信(かとうかつのぶ) 議員が就任
2  業務及び会計監査終了
3  令和7年度スポーツ鍼灸マッサージ指導者育成講習会(報告)
4  第19回地域健康つくり指導者研修会(報告)
5  フェムテック委員会の取り組みと今後の展望
6  第9回DSAM災害支援鍼灸マッサージ師合同育成講習会(お知らせ)
7  第25回東洋療法推進大会in北海道 開催のご案内
8  「あはき法改正のための委員会」再開
9  Dr.タコのちょっとエッセイ 「男と女の壁・医療現場の壁」
10 信頼を支える説明・記録・対応の基本
11 中医学コラム(13)
12 第31回日本災害医学会学術集会新潟大会参加報告
13 令和8年度 行事カレンダー(予定)
14 NEWS
15 インフォメーション 研修会・イベント開催予定
16 協同組合ニュース
17 編集後記
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以下本文


鍼灸マッサージを考える国会議員の会 総会 開催
議連 新会長に加藤 勝信(かとうかつのぶ)議員が就任
【写真:新会長、会場の様子、集合】

 令和8年3月12日、参議院議員会館1階講堂において、「鍼灸マッサージを考える国会議員の会総会」が開催されました。本総会には、関係国会議員をはじめ、あはき業界の主要団体代表者が出席し、業界の現状と今後の制度の在り方について活発な議論がおこなわれました。
 全日本鍼灸マッサージ師会からは、理事15名が出席し、冒頭、長嶺 芳文(ながみねよしふみ) 会長が挨拶に立たれ、日頃の施術現場に基づく課題や要望について述べられました。とりわけ、超高齢社会が進展する中で、あん摩マッサージ指圧師、はり師,
きゅう師が担う役割はますます重要性を増しており、在宅医療や介護の分野において地域住民の生活を支える存在としての期待が高まっている現状を共有しました。
 総会では、療養費制度の適正運用と見直しについて意見交換が行われ、現場の実態を踏まえた制度改善の必要性が確認されました。また、施術者の資質向上や人材育成、さらには国民に対するあはき業の正しい理解の普及についても議論が交わされ、安全で信頼される施術環境の整備が重要であるとの認識も共有出来ま
した。
 なお、本総会において、加藤 勝信(かとうかつのぶ)衆議院議員が新たに議連会長に就任されました。新体制のもと、業界が抱える諸課題の解決と制度のさらなる充実に向け、力強いリーダーシップを発揮されることが期待されます。
 本会としても、今回の総会で示された方向性を踏まえ、関係団体および行政との連携を一層強化しながら、あはき業の発展と国民の健康増進に寄与してまいります。引き続き、会員一人ひとりが専門職としての誇りと責任を持ち、社会から信頼される存在としての地位向上に努めますので、一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。
                       (理事 中川 紀寛 なかがわとしひろ)


業務及び会計監査終了
【写真:監査風景、会長、監事の皆さん】

 令和7年度監査会が、4月16日、伊藤 徳也(いとうのりや)氏、常盤 和成(ときわかずしげ)氏の監事2名により行われ、全鍼師会の事業及び財務関係はすべて承認され、監査を終了した。
正味財産増減は次の通り。(財務委員会)

★令和7年(2025年)度 正味財産増減計算書
 前期正味財産 221,817,216円
 当期経常収益 65,639,769円
 当期経常費用 64,111,448円
 当期経常増減 1,528,321円
 当期経常外収益 0円
 当期経常外費用 0円
 当期経常外増減 0円
 当期正味財産 223,345,537円


令和7年度 スポーツ鍼灸マッサージ指導者育成講習会(報告)
【写真:講師、実技の様子】

 2月21日・22日、横浜呉竹医療専門学校で令和7年度スポーツ鍼灸マッサージ指導者育成講習会が開催された。参加者総数108名(現地54名・オンデマンド54名)。スポーツケア委員会は地元県師会の先生方と協力し、昨年から国スポ(くにスポ)のバドミントン競技の選手、監督、コーチにケアを開始し、今後毎年各都道府県でおこなわれる国スポでケアをおこなっていく。
 今回から選手のケアのみならずコンディショニング、栄養指導、トレーニング指導など総合的に関わる知識を持ったトレーナーを養成することを目的とし、将来的には実業団や大学とコラボできるような高いスキルを持ったトレーナーを送り出し、息の長い講習会を目指す。
 座学では「スポーツドクターによるメディカルチェック」「栄養学」「わたSHIGA輝く国スポ(こくスポ)バドミントンボディケア実施報告」「症例報告」「女性アスリートにおける医学的トラブル」「現場コーチ・監督が見る鍼灸マッサージ師像」等、現場で実際おこなっている先生方に生の声を聞かせてもらった。
 実技ではテーピング「キネシオ」をおこない、教科書には掲載していない独自の手法を披露してもらい、現地参加でしか味わえない実技を受講生共に行った。現地参加には学生が多く参加しており現にトレーナー活動している者、将来目指したい者には大変好評で、活発に質問が飛び交い今までにない充実した講習会であった。来年度も更により良い講習会にしたいので多くの参加を期待したい。
                 (スポーツケア委員長 仲嶋 隆史 なかじまたかし)


第19回地域健康つくり指導者研修会(報告)
【写真:講師、会場風景】

 3月7日・8日の2日間にわたり、第19回地域健康つくり指導者研修会を開催いたしました。本研修会は、鍼灸マッサージ師が施術にとどまらず、地域における健康支援を実践していくための研修として実施しているものです。本年度は「新たな職域の創出と予防の重要性」をテーマに、社会構造の変化や国の政策動向を踏まえ、エイジフレンドリー補助金、健康経営支援、介護予防の実践について体系的に学びました。
 第1日目は講義およびシンポジウムを通じて多職種の視点から議論を深め、第2日目は実技中心のプログラムにより、現場で活用できる具体的な手法を習得しました。
 本研修会が、参加者それぞれの地域における新たな役割の確立と、今後の実践につながる契機となることを期待しております。
                    (事業改革委員長 狩野 裕治 かのうゆうじ)


フェムテック委員会の取り組みと今後の展望

 フェムテック委員会では、会員の臨床知を集約し、女性の健康支援における新たな価値を創出する取り組みを進め、このたびフェムテック専用Webサイト https://www.femtech.zensin.or.jp/を開設。本サイトでは、フェムテックに関する基礎知識の整理に加え、鍼灸・マッサージによる関与の可能性や、今後の事業展開に関する情報発信をおこなっていく予定です。また、今後はオンラインコミュニティ(LINEオープンチャット)の構築を通じて、会員同士が女性患者に関する臨床経験や疑問を共有できる場を整備します。これにより、将来的には研修事業や認定制度、さらには臨床ガイドラインの策定へと発展させていくことを目指します。会員の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
                   (フェムテック委員長 清水 洋二 しみずようじ)


第9回 DSAM災害支援鍼灸マッサージ師合同育成講習会(おしらせ)

今年は大分で開催 !! 
是非、多くの皆様のご参加をお待ちしております

【日時】7月26日(日)9時30分~16時
【会場】J:COMホルトホール大分 302・303会議室
    〒870-0839 大分県大分市金池南一丁目5番1号
【定員】140名
【参加費】日鍼会、全鍼師会、日マ会会員 :8,000円
     学生 :3,000円 一般 :10,000円
【参加申込締切】7月15日(水) 
 ※申し込み方法は後日 師会長メール・公式ライン・ホームぺージにて掲載します
【形式】 現地開催のみ
【受講資格】〇会員・非会員に関わらず災害支援に興味があり今後の活動を希望するはり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師のいずれかの有資格者
      〇上記資格の養成校在学中で災害支援に興味がある学生
      〇DSAMと連携した災害支援活動を希望する医療職種・多職種の方
◆プログラム
 9時~ 受付開始
 9時30分~ 基礎講座
  (1) DSAMの概略・活動から見た今後の鍼灸・マッサージを用いた支援のあり方
  (2) 平時の訓練からつくる災害時連携~DMAT・JIMTEF・行政との接点
  (3) 鍼灸マッサージの強みと診療記録について大切なこと
 12時30分~ 実技 〝ロールプレイング″(レイアウト・ブース作成、模擬診療)
 15時30分~ 振り返り、質疑応答
                               (災害対策委員会)


第25回 東洋療法推進大会 in 北海道 開催のご案内

令和8年度「第25回東洋療法推進大会」は、下記の通り北海道札幌市で開催いたします。
今年度もハイブリッド形式にて、公開講座、特別講演・保険講演とシンポジウム等を企画していますが、申し込み方法等に少し変更がありますので、ご注意ください。
是非多くの方のご参加をお待ちしています!
日程: 10月18日(日)12時~10月19日(月)13時
会場: 京王プラザホテル札幌 ※ JR札幌駅から徒歩10分
    〒060-0005 北海道札幌市中央区北5条西7丁目2番地1
   (宿泊予約・お問合せ:TEL 011-271-0111)
参加費: 会員現地10,000円(Zoom 同額) 
※あはき免許の無い介助者 無料
     会員外現地20,000円(Zoom 同額)
     ※会員の紹介の場合、12,000円
学生(あはき養成校)2,000円(Zoom 同額)
後日オンデマンド視聴 3,000円
    (県師会単位の申込み:30,000円)
申込方法: 大会参加は、各都道府県師会又は、個人でGoogleフォーム※より申込
※後日ホームページ、師会長ネット等で公開予定
申込期間: 5月24日~9月10日(予定)
宿泊は、各個人の手配となりますので、よろしくお願いいたします。
(大会実行委員会)


「あはき法改正のための委員会」再開

 あはき等法推進協議会(中央7団体)では、令和6年度より、「あはき法改正のための委員会」を設置。各団体から2名の担当者が出席し計10回の委員会を開催し、最終的に示された計画案が、全会一致とはならなかったため中断していたが、今年度より再開することとなった。あはき等法は、制定当時から大きく社会環境が変化しているにもかかわらず、内容はほとんど変わっておらず、以前から時代遅れ感と法改正の必要性が指摘されている。令和7年2月に「広告ガイドライン」が発出されたが、その後の連携、指導体制の有効性についても課題が報告されている。
 この法改正が、国民の生命と財産を守るうえで必要であるという根拠(立法事実)を論じていく必要があり、全鍼師会として、都道府県法制担当者より意見を集め、推進協に提出し、議論を重ねていこうと考えている。
                     (法制委員長 森 孝太郎 もりこうたろう)


Dr.タコのちょっとエッセイ  「男と女の壁・医療現場の壁」

 男女はもともと脳の働きが違うことを了解すれば多くのトラブルを回避できると解説した本がかつてベストセラーとなりました。男性は狩猟をおこなってきた名残で空間的認知力に長け、女性は住まいを守り人々と和して生きてきたために、感情の機微を察知する面が強いなど。是非はさておき、タコは何度も膝を打ちました。

 その一つ。妻は夫が帰ってくるとその日にあったことを話して聞かせる。夫は問題を提起されたと思い、合理的な解決策を示すのだが、妻はいっこうに喜ばない。女性は話を聞いてもらいたいので、必ずしも解決策を求めているわけではないことを男性が認識しないためのすれ違いであると。
 これを読んで得心した私は、外来に来る女性もそうなのでは?と日ごろの疑問に答えを得た気分でした。「なにしろ具合が悪い」とあれこれ並べられる女性に対し、医者として鑑別診断を検討して解決策を探る日々でしたが、得心ある反応は得られません。しかし「それは大変だねぇ」と聞いてあげるだけで満足して帰られることもあるのです。
 むろん症状をこれのみでは説明できません。むしろ「コントロールできないものに支配されている」ということを肝に銘じておいた方が、男女のコミュニケーションでは大切だということになりそうです。わかった気になっても、相変わらず実生活ではいさかいを繰り返してしまうのも男のサガですけど、ふー。
 さてタコはかつて准看護学院の学院長を務めさせていただいたことがあります。その戴帽式を前にナイチンゲールの書籍を読み直す機会がありました。看護師を目指す方は一度は教えられるのでしょうが、「看護師よりもむしろ、臨床の医師たちに読んでいただきたい内容である」というレビューがありました。
 彼女は「著述家・看護の発見者・優れた看護管理者・科学者・統計学者・衛生改革者・病院建築家・社会改革者としての側面を有する」と評価されています。
 「この世で、病人に浴びせかけられる忠告ほど、虚ろで空しいものはほかにない。それに答えて病人が何を言っても無駄なのである。本当のことを何も知らないで、しかもそれを尋ねることはできないと自認しながら、それでいて忠告を与えることのほうが、一層失礼ではないか」。確かに苦しい状況にある人に、これまでの原因や非を攻めても何にもならないが、我々はそれをしてしまいがちです。
 「人びとはよく、10年15年とか病人の世話をしてきた看護師のことを『経験を積んだ看護師』という。しかし経験というものをもたらすのは観察だけなのである。観察をしない女性が、50年あるいは60年病人のそばで過ごしたとしても、けっして賢い人間にはならないであろう」。
 医師として事務や看護師から受診者の状態を告げられることは日常ですが、その時に認識の違いを感じます。「熱があるというんですが」「何歳の人?男性・女性、通院状況は?」「えっと、聞いてないです」ある場合は、「しばらく意識を失って回復したようです」「バイタル(血圧、脈拍、酸素飽和度)は?どういう状況だったのかな?」「えっと、確認します」私にしてみれば当たり前なのですけど。
 看護を天職と捉えていた彼女は「何かに使命を感じるとはどういうことであろうか?それは何が『正しく』何が『最善』かという、あなた自身が持っている高い理念を達成させるために自分の仕事をすることであり、もしその仕事をしないでいたら『指摘される』からするというのではない」「看護師は、自分自身の理念の満足(使命感)を求めて病人の世話をするのでない限り、他からのどんな『指示命令』によっても、熱意を持って看護することはできないであろう」とも言っています。  
 看護師を医師と読み替えても通じる気がします。医療環境が変化し、行政からの要請、経済状況の悪化、多々あるにしても、信念として彼女の直裁で誠実な言葉を常に思い起こしたいと思います。
+++++
Dr.タコ
昭和40年生まれ、慶應義塾大学医学部卒。
田んぼに囲まれたふるさとで診療する熱き内科医。

10
信頼を支える説明・記録・対応の基本   顧問弁護士 井上 雅人(いのうえまさと)

 先日、高齢の父親が入所している施設で起きた介護事故について相談を受けました。父親がトイレの介助を受けている際に転倒し、骨折したという事故でした。相談者である息子さんが施設に事故の状況を尋ねても、「いま調査しています」との返答にとどまり、具体的な説明や謝罪はなかったとのことです。施設には日頃からお世話になっているものの、その対応には納得できないというお話でした。家族としては、専門職が介助しているにもかかわらず、なぜこのような事故が起きたのかと疑問に思うのは当然のことです。また、施設の中で起きた出来事である以上、きちんと説明してもらえなければ、何が起きたのか分からないという不安な気持ちも理解できます。
 一方で、施設側からすれば、事故の状況を正確に把握しないまま説明してしまうと、不正確な内容になってしまうおそれがあるため、事故直後には詳しい説明ができないこともあります。この点は、ある程度やむを得ない面もあるでしょう。しかし、それでも大切なのは、家族の気持ちへの配慮です。たとえば、「現時点で分かっていることはここまでです。担当した職員からの聞き取りが終わりしだい、改めて詳しくご説明します」といった一言があるだけで、家族の受け止め方は変わると思います。また、施設側が「謝罪すると責任を認めたことになるのではないか」と思い込んでいる場合もあります。しかし、本来、安心して暮らせるはずの施設内で事故が起き、利用者本人や家族に不安を与えたことについて謝罪することは、通常、法的な責任を認めたことにはなりません。この点を取り違えてしまうと、家族との間に不要な行き違いが生じ、結果として法的な紛争にまで発展してしまうこともあります。それは、家族にとっても施設にとっても、とても残念な結果といえるでしょう。
 こうした問題は、介護の現場に限らず、医療や施術の場面でも同様に見られます。鍼灸マッサージ師の施術に関しても、患者とのトラブルが生じることはあります。訴訟にまで発展するケースは決して多くないと思われますが、そのような事案では、施術そのものの当否よりも、説明や記録、そして事後対応のあり方に問題がみられることが少なくありません。例えば、施術後に患者の症状が悪化したことをきっかけに損害賠償請求がなされた裁判例では、施術内容自体に重大な過失があったとまでは認定されませんでした。しかし、最終的に施術者側の責任が認められた理由は、「リスクについて十分な説明がなされていなかった」点にありました。施術に伴い一定の痛みの増悪や身体反応が生じ得ることは、専門家である施術者にとっては常識の範囲かもしれません。しかし裁判所は、「患者がそのリスクを理解し、施術を受けるかどうかを自ら判断できる程度の説明がなされていたか」という観点から検討します。その結果、口頭での簡単な説明にとどまり、記録も残されていなかった当該事案では、患者の自己決定権が十分に保障されていなかったとして、説明義務違反が認められました。
 このように、裁判で重視されるのは「専門家として当然知っていること」は大前提ですが、そのことが「患者にどこまで伝わっていたか」という点です。しかも、後から説明したと主張しても、それを裏付ける記録がなければ、施術者側の言い分は採用されにくいのが実情です。カルテや同意書は単なる形式ではなく、自らを守るための重要な証拠となります。施術前の状態、施術内容、説明した事項、患者の反応といった基本事項を具体的に記録しておくことは、紛争予防の観点から極めて重要です。
 また、施術の結果が思わしくなかったとしても、それだけで直ちに責任が認められるわけではありません。裁判では、結果そのものではなく、「その結果を予見できたか」「回避することが可能であったか」が問われます。したがって、既往歴の確認を怠ったり、適応を慎重に判断すべき場面で漫然と施術をおこなったりしていると、「避けられた結果」と評価される可能性が高まります。他方で、必要な問診や評価を尽くし、合理的な判断のもとで施術を行っていたことが記録から明らかであれば、仮に結果が思わしくなくても、責任が否定される余地はあります。
 さらに見落とせないのが、トラブル発生後の対応です。実際の裁判例を見ても、紛争が深刻化するかどうかは、初期対応に大きく左右されます。症状の悪化を訴える患者に対し、十分な説明をおこなわなかったり、不信感を抱かせる対応をしてしまったりすると、それ自体が新たな紛争の火種となります。逆に、事実関係を丁寧に確認し、現時点で分かっていることと分からないことを誠実に伝える姿勢を示すことで、法的紛争に至る前に解決できるケースも少なくありません。ここでいう誠実な対応とは、患者の不安や疑問に正面から向き合う姿勢です。
 以上のように、トラブルの原因は、特別な知識や高度な技術の欠如というよりも、基本的な業務に問題がある場合が少なくありません。すなわち、説明を尽くすこと、記録を残すこと、そしてトラブルに誠実に対応することです。施術の質を高める努力はもちろん重要ですが、それと同時に、今回お話した視点から日々の業務を見直すことが、結果として患者との信頼関係を守り、ひいては自身を守ることにもつながります。日々の説明と記録、そして対応のあり方を、今一度確認してみてはいかがでしょうか。

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中医学コラム(13)

北京中医薬大学国際学院 名誉顧問・名誉主任 梅野 弘樹(うめのひろき)
 梅野(うめの)先生は北京中医薬大学国際学院名誉顧問・名誉主任として多くの書籍を執筆する傍ら、「中医学講座」(隔月)、「太極拳教室」(毎月2回)を通して日本での中医学普及に努めておられます。
ホームページ:http://hiroharikyu.com

 2026年の十干十二支(じゅっかんじゅうにし)は丙午である。
 さて読者の皆さん、毎年変わる干支について何か不思議に思わないだろうか・・・。
 いったいこの干支、いつを起点にして始まったのだろう。

 十干十二支の起点は紀元前2697年である。何故、紀元前2697年なのか。諸説あるが、私が採用しているのは「黄帝即位説(こうていそくいせつ)」である。ちなみに「黄帝誕生説(こうていたんじょうせつ)」というのもある。
 紀元前2697年と言えば、中国大陸の北方では黄河文明(こうがぶんめい)の後期に当たる黒陶文化(こくとうぶんか)、南方では長江文明(ちょうこうぶんめい)が花咲いていた時代である。
 盤古(ばんこ)の後、三皇五帝(さんのうごてい)と呼ばれる中国大陸の覇者(はしゃ)がいたとされる伝説の時代に当たる。
 三皇とは伏羲(ふぎ)、女媧(じょか)、神農(しんのう)の3人をいう。
 五帝とは黄帝(こうてい)、顓頊(せんぎょく)、嚳(こく)、堯(ぎょう)、舜(しゅん)の5人をいう。
 ちなみに、十干十二支はカレンダーの役割も果たしてきた。
 殷(いん)の時代の甲骨文字(こうこつもじ)を見てみると、日付を1日、2日と数字で表さず、1日を甲日(こうじつ)、2日を乙日(おつじつ)というように十干で示していた。
 そして10日かけて十干が一周すると、この10日間を「旬(しゅん)」と呼んだ。これが「上旬(じょうじゅん)」「中旬(ちゅうじゅん)」「下旬(げじゅん)」の由来である。
 1年を四季に割り当てると1つの季節は3ヶ月となる。この3ヶ月をさらに3つに分けて、最初の月から順番に「孟(もう)」、「仲(ちゅう)」、「季(き)」と呼び、例えば春の最初の月(旧暦1月)ならば「孟春(もうしゅん)」、旧暦2月ならば「仲春(ちゅうしゅん)」、旧暦3月ならば「季春(きしゅん)」となる。故に、旧暦(きゅうれき)の1月10日ならば、孟春月上旬癸日(もうしゅんづきじょうじゅんみずのとび)という表現になるのだ。

 十干(じゅっかん)は甲(きのえ)から癸(みずのと)までの10種類を言うが、それぞれに意味があり、しかもその意味は自然の法則に従うという徹底ぶりである。
 甲(きのえ)は亀の甲羅を表していて、「被(かぶ)せる」「覆(おお)う」などの意味がある。種がまだ堅い殻(から)に覆われている状態を表している。手で亀の甲羅を潰(つぶ)す行為を表している漢字が「押」である。
 乙(きのと)は屈曲している姿を表していて、ジグザグに進む意味がある。種から出た芽が地上に出ようとして曲がりくねっている状態を表している。人が色々と考えをめぐらしているのが「亿」(億)である。
 丙(ひのえ)は脚を両方向に伸ばした状態を表していて、「広がる」などの意味がある。土中の芽が両方向に伸びている状態を表している。人体にとって邪悪なものが広がることを表わしているのが「病」である。
 丁(ひのと)は硬度が増して直線になった姿を表していて、ピンと立っている意味がある。ようやく芽が地上に現れて、ピンと立った状態を表している。ピンと立っている金属が「釘」である。
 戊(つちのえ)は戈(ほこ)を表していて、「刈り取る」という意味がある。地上に出た芽が刈り取れるくらい生長した様子を表している。刈り取ることに注目するのなら「鉞」、地上に出た芽に注目するのなら「茂」という漢字になる。
 己(つちのと)は糸が規則正しく巻かれている糸巻(いとまき)を表していて、「秩序」という意味がある。植物が理想とする姿になった状態を表している。糸へんを付けてさらに秩序を強調したのが「紀」である。
 庚(かのえ)はY字型を表していて、杵(きね)を両手で持ち上げている意味がある。生長した茎が枝分かれする状態を表している。杵を両手で持ち上げて脱穀する庚からこぼれ落ちた籾(もみ)を表したのが「康」で、これに米へんを加えて強調したのが「糠(ぬか)」である。
 辛(かのと)は刺青をする針を表していて、「剪定(せんてい)」という意味がある。生長した植物を剪定や伐採(ばっさい)する様子を表している。辛、木、斤を組み合わせたのが「新」で、植物を剪定あるいは伐採した際の切り口の新鮮さを表している。
 壬(みずのえ)は中心部が膨れるように糸を巻いた一本の棒を表していて、「妊娠」という意味がある。植物が受粉した状態を表している。女性が妊娠したことを強調したのが「妊」である。
 癸(みずのと)は四方に突き出た刃を持つ鉾(ほこ)を表していて、回して突き刺すことから「回転」という意味がある。植物の生長が一周した状態を表している。植物で花弁(かべん)が多く、四方に花を咲かせるのが「葵」である。

 中国大陸で育まれてきた文化は、必ずと言っていいほどバランスがとれている。同じ法則性の中で全てが語られるのである。これは長い歴史があればこそ為せる業なのではないだろうか。

12
第31回 日本災害医学会学術集会新潟大会参加報告
【写真:発表の様子、大会ポスター】

 3月19日から21日まで、新潟市朱鷺メッセで会頭 高橋 昌(たかはしまさし)新潟大学大学院医歯学総合研究科災害医学・医療人育成分野特任教授のもと、全国から災害医療に携わる医療職のほか自衛隊、消防、警察、行政、ボランティアの方々を含む約3,000人以上参加、1,000以上の演題が集まり盛大に開催された。
 今回のテーマが「災害を科学する」ということで今までの経験を科学的に分析し、そのエビデンスをもとに人材育成教育や社会システムへの働きかけ、資機材の開発、研究を次に起こりうる災害に適応し検証するといった社会活動と有機的なサイクルを構築することを目的とした学術集会であった。また、東日本大震災から15年、熊本地震から10年という節目でもあった。
 今回も鍼灸マッサージ師が多く演題を提出し、パネルディスカッション2題(仲嶋 なかじま・矢津田 やつだ)、ポスター発表5題中3題(朝日山 あさひやま・榎本 えのもと・古田 ふるた)が採択され発表した。
 発災時に鍼灸マッサージ師による支援者支援の活動が現場の行政や医療従事者に少しずつ浸透してきている印象を受けた。会場でも顔の見える関係性も構築しつつあった。
                   (災害対策委員長 仲嶋 隆史 なかじまたかし)

13
令和8年度 行事カレンダー(予定)

日程、行事名、場所の順番で掲載
5月24日、定時総会/全日本鍼灸マッサージ師連盟総会/日本鍼灸マッサージ協同組合総代会、東京都(新宿区)
7月1日~31日、JIMTEF災害医療研修ベーシックコース、オンライン
7月26日、DSAM災害支援鍼灸マッサージ師合同育成講習会、大分県(大分市)
10月1日~31日、JIMTEF災害医療研修ベーシックコース、オンライン
10月11日~14日、青の煌めきあおもり国民スポーツ大会(バドミントン競技)、青森県(黒石市)
10月18日・19日、第25回 東洋療法推進大会in北海道、北海道(札幌市)
11月8日、都道府県師会会長会、東京都(新宿区)
11月28日・29日、認定マッサージ師・認定機能訓練指導員講習会(基礎講義)、東京都(中央区)
2月6日・7日、認定マッサージ師・認定機能訓練指導員講習会 (実技講習)、東京都(中央区)
2月、スポーツ鍼灸マッサージ指導者育成講習会、神奈川県(横浜市)
3月、地域健康つくり指導者研修会、東京都(新宿区)
※各都道府県師会でも講習会・各種スポーツケア等開催されますで、各師会にご確認ください

14
News ★事務局移転のご案内(3月16日現在報告)

新潟県師会 
 事務局:〒950-0991 新潟市中央区下所島2-10-14 
              グランフォール203
     TEL:025-244-6666 FAX:025-250-5909

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インフォメーション  研修会・イベント開催予定

各地での研修会・イベント情報をお知らせいたします。多くの方のご参加をお待ちしています。
詳細・申込については各師会事務所へお問い合わせ下さい。(変更・中止等がある場合もありますので必ず事前にご確認下さい)
なお、全鍼師会HP:トップページ内「全鍼ニュース」もご参照下さい。

月日、師会名、時間、場所、内容、一般参加、参加費、生涯研修単位の順番で掲載
5月17日、島根、13時~16時、ホテル武志山荘、COPD診療における漢方の役割~麦門冬湯と補中益気湯の交換~、可、無料、4単位
6月7日、石川、10時30分~12時30分、石川県立盲学校とオンライン【ハイブリッド】、加賀・三策塾、可、無料、2単位
6月12~14日、石川、11時~15時45分、富山国際会議場と富山市民プラザ、日本東洋医学会学術総会、可、会員15,000円~17,000円 会員外16,000円~18,000円、5単位
6月21日、石川、10時~15時、金沢市新神田公民館、スポーツボランティア ソフトバレー大会、不可、―、2単位
7月5日、石川、10時30分~12時30分、石川県立盲学校とオンライン【ハイブリッド】、加賀・三策塾、可、無料、2単位
※研修単位は会員のみ

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協同組合ニュース

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 会員の皆様のあらゆるニーズに対応する、日本鍼灸マッサージ協同組合の賠償責任保険。
 協同組合では、事故の相談室を設置しており、万が一の際の相談や事故対応にも自信があります!
 保険期間は6月1日からの1年間ですが、随時中途加入も可能です。まだ加入されていない先生は日本鍼灸マッサージ協同組合のホームページをご確認いただき、ぜひご加入をご検討ください!

  110番補償制度に関する疑問や確認、お問合せは日本鍼灸マッサージ協同組合ホームページまで
  https://www.jammk.net

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編集後記

 これから夏に向かって、「痩せたい」と思っている人は多いと思います。患者さんでも、女性の大半の方がしばしば「痩せなあかん」と、おっしゃいます。しかし、本気で考えているわけではなく、「願望」として述べられている方が多いので、求められない限り具体的なアドバイスなどはしていません。たまに求められた際には、一般的なお話ですがと前置きして、「摂取量」を減らすことと、「消費量」を増やすことをお勧めします。これを言うと、「ワタシ、そんなに食べてないです。」と返ってきます。私の経験では、ほぼ100%の確率です。これ、なんでですかね?「そんなに」とは、誰と比較しているのでしょうか?お相撲さんとか、大食い女子とかですかね?(笑)「好きなもの、甘いものを好きなだけ腹いっぱい食べて、あまり動かずゴロゴロして、なおかつ痩せたいんですね。」と言いたいところですが、嫌われるだけなので言いません。言うとすれば「〇〇さんはダイエットなんか全然必要ないですよ~。」とかでしょうか。(笑)今回も「編集後記」をお読みいただきありがとうございます。
 電子ブックの音声(読み上げ)機能を廃止する方向で検討中ですが、音声機能が無いと読まれないという方はご一報ください。 
 (広報IT委員長 廣野 敏明 ひろのとしあき)

以上本文

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◇学校法人呉竹学園 東京呉竹医療専門学校
 高めよう、臨床力を。広げよう、可能性を。
 第45期 鍼灸マッサージ教員養成科 学生募集
 2027年4月入学(修業年限:2年)(募集定員:25人)
 ●入試日程・試験科目
 1次募集 2026年10月25日(日)
      出願期間:10月7日(水)~10月21日(水)
 2次募集 2026年12月6日(日)
      出願期間:11月18日(水)~12月2日(水)
 試験科目 学科試験(記述形式)・面接
 東京呉竹医療専門学校 東京都新宿区四谷2-9-5 5号館
            TEL:03-5315-4093

以下奥付

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名称  鍼灸マッサージ情報誌 東洋療法
代表者  長嶺 芳文(ながみね よしふみ)
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銀行口座 りそな銀行 新宿支店 普通口座 1717115
     名義/公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会 
発行人  長嶺 芳文(ながみね よしふみ)  編集人/広報IT委員長 廣野 敏明(ひろの としあき)
購読料  3,600円 〒共(会員は会費より)

口座名のフリガナは「シヤ)ゼンニホンシンキユウマツサージシカイ」となります

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